その日暮らしの記
ぼやき日記

寝てばかり

 おかげさまで三連休だったわけですが、中日の昼間ぐらいから偏頭痛と吐き気に悩まされ、風邪と当たりをつけて薬飲んで十数時間ずっと寝ておりました。まあなんとか復調しましたので、急な気温の変化と職場の異動に伴う疲労が原因だったんだということにしませう。
 マーガレット・ミラー「狙った獣」読了。父親が死に巨額の遺産を手に入れたヘレン。だが彼女はその金の使い道を、毎日安っぽいホテルの一室に閉じこもることで、無駄に費やそうと考えていた。ある日そんなヘレンの元に、とある女性から電話がかかってくる。彼女の名前はエヴリン。かつての親友であり、明るく誰にでも好かれ、内気なヘレンとは正反対の女性だった。いや、そのはずだった。いまやその電話口から聞こえる声は冷たく巨大な悪意をむき出しにしたもので、ヘレンの更なる不幸を呼び寄せるかのようであった。追い詰められた彼女は、かつて父親の相談役であったポールに相談を持ちかけるのだが……というストーリー。「ヒチコック・サスペンス」にて「鏡の中の他人」として放送されたもの(「新ヒッチコック劇場」でもリメイクあり)で、ネタとしても今となっては古びてしまっているが、誰からも愛されず、誰からも慕われなかった哀れな女性の末路を、ただ彼女だけの悲劇として描かず、登場人物たち誰もが抱いている「孤独」の影の象徴(もしくは権化)として、誰しもがその運命に陥るかもしれないことへの恐怖と悲しさとをあわせて描いている点がなんとも印象的だ。誰が犯人でもおかしくなく、ある意味読んでいる読者もまたそうであるかもしれないのである。ドラマのイメージで単なるサイコものと考えていた自分としては、うれしい裏切りであった。ぜひともオススメの一作。

原子怪獣現わる

 また「パパイラスの舟」から小ネタを。スレッサーがJ・フォルブと共作し、ジェフ・ヘラー名義で発表した「十五年目の脅迫状 (原題 "Victim, Dear Victim")」になんと決定的な誤訳があるとのこと。マジですか。で、次章にその詳細が。……うおおおお、これはすごい。なんとも決定的な証拠がここに。「殺人交叉点」と「殺人交差点」の一件を思い出すなあ。
 TANIZOKOの次回特集用に「原子怪獣現わる」をDVDで鑑賞。北極での水爆実験で太古の恐竜が目を覚ます。その地でその怪獣に襲われた科学者の主人公は、地元ニューヨークへ帰国してからも、怪獣の存在を強く訴えるが誰もそれを信じようとはしない。ところが船舶事故や灯台の破壊などが相次いだことと、相談に向かった古代生物学教授の元で働く美人助手に信用してもらえたことが契機となって、軍も重い腰を上げて本格的な調査を開始する。しかし時すでに遅く、件の怪獣は調査団の潜水艇を襲撃したばかりか、ついにはニューヨークに上陸をはたすのだった……というストーリー。冒頭から出し惜しみなくリドザウルスの全形をバンバン見せてくれるし、いまさらながらハリーハウゼンの迫力あるダイナメーションも圧巻。またビルの影やサーチライトなどの、光の強弱や明暗のタイミングが非常に効果的で、リドザウルスの凶暴さや恐ろしさ、はたまた神秘性を見事に高めている。日常の中に非日常(怪獣)が入り込んできたときの描写のリアルさ(はじめはわずか数人が逃げはじめていたものが、徐々に大きな騒ぎとなり、怪獣の姿を見るにいたって町中が大パニックへと展開していく段階的描写の見事さ)にも、思わず息を呑んでしまう。「怪獣映画」としても「映画」としても一級品だと改めて痛感した次第。

重箱の隅

 「新パパイラスの舟と21の短編」の第6章で紹介されているチャールズ・アインスタイン「盗聴」(原題 "Sorry, Right Number")は、なぜか言及リストからもれていますが、「失礼、番号ちがい−ではありません」というタイトルで講談社文庫「世界ショートショート傑作選1」にも収録されています。たまたま今通勤時間にこの文庫を読んでいるので、気がついた次第。……黙っていられないマニアっていやですねえ。

新パパイラスの舟と21の短編

 とんでもない本だ。
 「ミステリマガジン」で連載されていた架空のテーマ別アンソロジー編纂エッセイに、その各テーマにそった作品を掲載する。なかなか面白い企画だなと思ったし(えらそーに)、スレッサーの単行本未収録作品が掲載されることも知っていたので、その部分だけ確認して後は図書館で借り出そうかなとか安易に考えていたのだが。
 いやはやとんでもない本でした。
 まず、最初のミステリエッセイが30年以上の時を越えて、魅力満載なのである。少しばかり固苦しく、少しばかり自虐的ではあるけれど、何より楽しそうに各テーマや収録作の見所を伝え、ちょっぴり誇らしげなのも微笑ましい。こちらの好奇心や自尊心も大いにくすぐられてしまう。各テーマの選定作見ごたえのあるものがそろっていて、さらに事細かに配された注釈と邦訳リストの重量が圧巻。最近じゃあ初出も原題も、はしょったり出鱈目なのも多い中で、この親切過剰ぶりには頭が下がる(当然人名索引もあり)。そして併録された作品も短編好きにはたまらない、一癖も二癖もあるものばかり。やられました。
 あとスレッサーといえば、いきなり冒頭(詳細は第二章にて)でスレッサーの未訳短編が紹介されていて、これがまたなんで未訳なんだ、というぐらい面白そうな作品なのですね。本屋でここの部分を読んでしまって、もう我慢ができなくなってしまいました(笑)。少々お値段も張りますが、十分元は取れてお釣りがくると思います。
 何度もいいますが、ほんとにほんとにとんでもない本です。
 ぜひとも多くの人に読んでもらいたい、超オススメな一冊でございます。



〈新パパイラスの舟〉と21の短篇〈新パパイラスの舟〉と21の短篇
(2008/11)
小鷹 信光

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ちょっとした

 コメントを書こうと思っていたら、あっという間に1・2時間たってしまう不思議。ブロガーの人とかよくあんな長いのを短時間でかけるよな。
 DVDでWWEのPPV「ナイト・オブ・チャンピオンズ」を鑑賞。全試合がタイトルマッチという、なんとも安易な企画の大会。この時期はビンスの事故やドラフトなど、定期放送の方が見所が多かったのだが、そこら辺を特典でも入れてほしかったところ。内容の方は、ECWタイトルのありそうでなかった大型選手同士のトリプルスレッドもよかったのだが、いろんな意味で考えさせられたのはメイン。確かにこの段階で最高のカードだし、シナもHHHも頑張っていたのだが、突き抜けるところまでいかなかったのが残念。過去のタイトル戴冠の歴史のダイジェストを見てしまったのでなおさらそう感じてしまう。この後さらに迷走が続いていくわけであるが……。今のアメリカで、思い切った大改革やそれを継続させるだけの気力を求めるのは困難なのでしょうか

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