その日暮らしの記
ぼやき日記

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積読はあまりないけれど

 読みたい本ってどうしてこんなにたまるのか。
 旧「宝石」昭和34年4月号を読む。目当てはスレッサーのO・H・レスリー名義の短編だったのだが、冒頭の竹村直伸の短編3本一挙掲載に打ちのめされる。掲載作は以下のとおり。
 「タロの死」…海辺の町に母一人子一人で住んでいる親子。ある日子供が一匹の黒い犬を拾ってくる。何故か母親はその犬を毛嫌い、こっそり逃がしたりするのだが、犬はすぐに戻ってくる。何でも年配の婦人が子供に譲ったらしいのだが、その人物には心当たりもない。偶然その犬を届けた男がその背景を調べたところ、意外な真相が浮かび上がって……。
 「似合わない指輪」…色黒で大柄であることを気にしている中学生の少女。彼女は母親に捨てられ、祖父母の元で暮らしている。祖父は優しいが、後妻である祖母は血のつながりもなく、肩身の狭い思いをしていた。そんなある日、母親が少女に会いにこの街を訪れていることを知る。こっそりと会いに出かけるの少女だったが、予定の列車に母の姿はない。落ち込む彼女の元に偶然その母親のものらしい指輪が舞い込んできて……。
 「霧の中で」…小さな駅で電車を待っていたとある中年の男。その駅舎に一人の少女が花束を持って訪れ、男の座っている席のまん前にその花束を置いて去っていった。それには一枚のカードが入っており、亡き父に対する想いが綴られていた。そのことを男は妻に話したところ、彼女は聡明な少女の面影とその不幸な境遇に同情し、子供のいない自分たちのためにその娘を養女にしたいと言い出すのであった。ところが男がつてを使って少女を調べたところ、彼女の父親は健在であった。男はその父親とどこかで出会った気がするのだが……。
 どの短編も家族、特に子供の行動や存在が物語の重要な鍵となっていて、またそのことが望むと望まざるにかかわらず、事件の裏に潜む悲劇を浮かび上がらせ、時には悲しい結果を生み出しており、運命的ともいえる人間ドラマが傑出している。状況証拠ばかりでミステリとしては弱いかなあ、と思っていたら「似合わない指輪」のラストで見事にひっくり返された。この作品は最近出た「江戸川乱歩と13の宝石 第二集」に収録されているようなので、ぜひとも一読をオススメします。個人集としてまとめるのは作品数が少ないから難しいかもしれないが、もっともっと読まれる機会が増えてほしい作家だと思う。
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