その日暮らしの記
ぼやき日記

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とりあえず

 鳥は食ったしケーキも食べたし。今日のイベントごとのノルマはきちんと果たしましたのことよ。
 ウィリアム・モール「ハマースミスのうじ虫」をやっとこ読む。植草甚一の「クライム・クラブ」に取り上げられ、瀬戸川猛資が絶賛した幻の長編の新訳版。昨年話題になった一品だが、なかなか読めないでいたもの。ありもしない性的スキャンダルをネタにゆすりを働く卑劣漢を、犯罪者に異様な興味を抱く一人のワイン商が徹底的に追い詰めていく。この謎のゆすり屋をわずかな証拠からその正体を突き止めるまでは非常にスリリングなのだが、その正体が判明し、その男を捕まえるべくあの手この手でわなを仕掛けていくあたりから、どうもムードが変わっていく。それはこの犯人が社会的孤立者であり、文化的精神的向上を求めて上流階級に属するべく犯罪に手を染めたのに対し、追跡者たる主人公は生まれながらにその上流階級の人間であり、その者が金や地位や余暇を利用してなりあがり者を駆逐しようとしているかのような図式が見え隠れしてしまうからだろう。ただ被害者たちが一様に主人公に対し非協力的かつ冷徹な態度を崩さない点や、ラストの「あの」一文の存在が、この作品を単なる「いやな話」に陥るところを救っていると思う。そこには「孤独」というキーワードが、立場は違えど追うものと追われるものに共通してあったのだということが、こちらに判明するからではないだろうか。続編の「さよならの値打ちもない」や、未訳の第三作も早く新訳で出してもらいたいところ。


ハマースミスのうじ虫 (創元推理文庫)ハマースミスのうじ虫 (創元推理文庫)
(2006/08)
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