その日暮らしの記
ぼやき日記

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「逃走と死と」と「現金に体を張れ」

 ライオネル・ホワイト「逃走と死と」を読了。ハヤカワ・ポケット・ミステリの中でも希少価値の高い一冊。刑務所帰りのジョニーは一攫千金を求めて、競馬場の売り上げ金に目をつける。彼は前科はないが金を必要としている競馬場の従業員や警官たちを仲間に加え、綿密かつ大胆な強奪計画を着々と進めていくのだった。だがその仲間の一人、出納係のジョージの不手際から、彼の妻シェリーに計画を知られてしまう。シェリーは若く豊満で、かつ金と欲に目のない悪女であった。彼女はさらに愛人のヴァルにこのことを伝え、強奪金を横取りしようとたくらむのだが……というストーリー。冒頭からテキパキと人物紹介と状況説明を行い、ジョニーたちとヴァルたちの行動のすべてをスピード感あふれるタッチで積み重ねて行き、そして実際の実行の際には各登場人物の視点からカットバック風かつ多面的に描いて展開を盛り上げた上、最後に訪れる余韻あふるるカタストロフィのすさまじさ。ジョージの妻シェリーがすべてを知ったときから、この計画は失敗するとはわかっていても、事件を登場人物たちを追いかけずにはいられない。まさしく一気に読み終えてしまった。絶版なのが本当にもったいない傑作。
 で、キューブリックの映画版「現金に体を張れ」も続けてみてしまう(一応再見)。展開はほぼ原作どおりなのだが、不要な部分や尺が延びそうな箇所を切り、人物整理を行い、さらに「映画的」演出が巧みに加えられていてこれまたすばらしい。違いとして顕著なのは、ラストの描き方だろう。詳しくは書かないが、下手をすると陰惨になりかねない部分を大胆に省略し、ユーモアとアイロニーをうまく交えて描いたその場面は、視覚的な効果も高く、やっぱりキューブリックは非凡な演出家だったのだなと実感させてくれる。スターリング・ヘイドン、エリシャ・クック・ジュニア、ティモシー・ケリーと、役者陣も味のある連中ばかり。原作も映画もどちらも傑作という稀有な例かも知れませんな。
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