その日暮らしの記
ぼやき日記

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探偵は誰だ

 島田一男「山荘の絞刑吏(別題『G山荘の絞刑吏』/春陽文庫『赤い影の女』収録)」を読む。間羊太郎「ミステリ百科事典」で紹介されて以来、ずっと読みたいと思っていた作品についに遭遇。長野県の人里はなれた山麓にあるG山荘。ここに研究論文をまとめるという名目で長く逗留している玉井次郎こと鈴木正夫は、実は15年前とある銀行を襲撃し店員を殺害した強盗殺人犯の一味であった。彼は事件直後、遠洋漁業船に乗り込んでいたため、警察の手から逃れることが出来た。彼は世界各地を転々とし、あと一月で事件が時効をむかえるという時に日本へ舞い戻り、その時効の日までこの山荘に隠匿しようと考えたのである。ところが今日になって、その山荘に東京から著名な警部がやって来ていることを知る。警部は名を変えて、宿泊客の中に紛れ込んでいるらしいのだ。警察の目的は自分の逮捕なのか? 客たちは誰もが一癖も二癖もある怪しいものばかり。さらに悪いことに巨大な台風の影響でその地から逃れることが出来なくなってしまう。疑心暗鬼にかられた鈴木は次第に追い詰められてしまい、ついには新たなる殺人が……。警部の正体は誰なのか? 鈴木は逃げ延びることができるのか? そして山荘でおきる殺人事件の顛末はいかに? ……というストーリー。
 「事件記者」などで知られる島田一男の本格推理作品。「閉ざされた山荘での殺人」という古典的定番ネタに、犯人探しと探偵探しをシンクロさせていくという変格要素を盛り込んでいるのだが、展開としては暗い影をもつ男女の大人の淡い恋愛模様といった、ベタな通俗趣味の方が強く感じられる作品となっている。ただ要所要所にきっちり見せ場とツイストを(これは「本格」「通俗」共に)配しているおかげで、読んでいる間は飽きることはないし、ラストで主人公が新たなる一歩を踏み出す場面など、なかなか感慨深い物がある(こちらは「通俗」の勝利か)。職人作家がそれまで磨いてきた自らの技量を出し惜しみせずに一気に書き上げた印象。とまれ、このまま埋もれさせておくにはもったいない佳作。
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