その日暮らしの記
ぼやき日記

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ゴセシケふたたび

 かなり前に再読してずっと気になっていた「ゴセシケ」ことレイモンド・F・ジョーンズの「合成怪物」(別題「合成怪物のはんらん」)だが、このたび原書の"The Cybernetic Brains"をついに購入してしまったのことです(アマゾンさんありがとう)。見るとページ数にして128ページのかなり薄い本なので、辞書を片手に私でもなんとか読み終えられそう……かな。ざっと冒頭の部分を抜き出してみると、

・"There was darkness and utter silence and the absence of any familiar thing; but he was alive, and that was good."(原語)

・"暗い闇と深い沈黙の中、普段の感覚までもが失われてしまっていた。しかし、彼は生きていて、ただそれだけでも良いことだと言わざるを得なかった。"(私の超訳)

と原版では淡々と主人公が陥った状況を三人称視点で描き始めているのに対し、

"・「あっ、ああっ!」
 ジョンは、耳もとにきこえたそのひめいを、いまもはっきりと、おぼえています。マーサのひめいです。ジョンのはなよめの、マーサのひめいです。それがさいごでした。ジョンの運転していた車は、マーサをそばにのせたまま、山道から谷そこへ、ついらくしていきました。(SFこども図書館25 「合成怪物」1985年2月15日 第9刷)"

 と、まあこんな感じで、児童書版ではこのあと三輪しげる氏のイラスト(トラウマになったのは氏のイラストによるのが大きいと思う)と共に、主人公の置かれた状況を主人公の主観をもって展開させている(それにしても、この導入部が実に見事で思わず作品世界にひきずり込まれる)。
 レイモンド・F・ジョーンズは「宇宙水爆戦」の原作(ノヴェライズ)担当でもあるのに、訳されているのは短編ばかりで、長編は児童書ばかり(児童向けライターというわけでもなさそうなのだが)というあたりもいろいろ追っかけてみるのも面白いかも(作品リストを見ると古き良き時代のSF、という作風であるためか)。
 余談だが、この児童向け「合成怪物」の抄訳は「半田倹一」と言う訳者が担当しているのだが、いろいろと検索してみても、この名前はこの作品でしかヒットしなかった。ひょっとしたら別の翻訳家の変名か(たとえば本書の解説を書いている亀山龍樹とか)、別の下訳にかなり手を加えられた物なのかもしれない……などとも思ったりなんだり。
 とまあ、相変わらず「そんなん気になっている(面白いと思っている)のはお前だけだよ」というツッコミを受けつつ、ぼちぼち原書を読んでみようと思います。

合成怪物の逆しゅう (冒険ファンタジー名作選)合成怪物の逆しゅう (冒険ファンタジー名作選)
(2004/10)
レイモンド・F. ジョーンズ

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